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フエの名物「ブン・ボー・フエ」麺の細さは冷や麦ぐらい
日本で麺と言えば、うどん・そうめん・ラーメンと、
小麦でできたものが主力であるのに対し、
ベトナムでは、麺はその多くが米でできています。

これは、米のほうが生産が圧倒的に多く、
安価なため。中国でも、南のほうはビーフンが
ありますが、北に行くと麺は小麦だけになり、
さらに餃子や焼売などの小麦を使った料理が
ほとんど主食として食べられるようになります。
ですから、麺を何で作るかは、その地域で
生産される主力穀物を反映するといえます。

ただ、そう考えると逆に、日本の麺の主力が小麦であることはむしろ不思議なことですが、
たぶん、米はあくまで「ごはん」として食べ、小麦は米の裏作として、または代替作物として
作られていた経緯から、日本の麺は小麦になったのでしょう。


しかし、せっかく年間900万トン近くの生産量があり、大量の備蓄米があるのですから、
日本も「米の麺の文化」を取り入れるべきなのではないでしょうか。
「米でできたパン」を作るような、コストのかかる馬鹿げたことをするよりも、米の麺の文化を
普及させたほうがよっぽど消費拡大に役に立つと思うのですが。


話がそれてしまいました。

ベトナムの米の麺。その代表格が、フォー(PHO)です。
別名、ベトナムうどんと呼ばれるだけあって、麺の太さは細めのうどんくらい。
街中いたるところに「PHO」という看板が掲げられ、専門店から普通のレストラン、さらに小さな
屋台にいたるまで、あらゆる店で食べることができます。

基本となるスープは、鶏がらをベースにした透明なもの。
牛骨ベースのものもあるのですが、屋台や普通の店ではあまり区別している様子がありません。
これにゆでた米の麺を入れ、鶏・豚・牛のいずれかの肉を乗せて香菜を上に散らしたものが基本。
あとはモヤシが乗ったり、別皿でレタスなどの野菜が付いてくる部分で、店の特徴がでてきます。

これまでのベトナムの旅で、数えきれないほど
たくさんのフォーを食べてきましたが、
いちばんおいしかったのが、ニャチャンの北
40kmのところにあるゾックレットビーチの
レストランにあるフォーでした。

このゾックレットビーチ、白い砂浜と青い空と海の
まさに楽園のようなところなのですが、
ニャチャンから車で1時間もかかるすごい田舎。
設備といえばコテージ形式のホテルが一軒と、
それに併設されたレストランがあるだけですから、
正直、味には期待していませんでした。

頼んだのはフォー・ガー。
鶏肉の乗ったフォーです。

ところが、スープがキリッとした味。
少々塩味が強めですが、鶏のうま味がストレートに
出ていて、ヘンな雑味がまったくありません。
「ベトナムの鶏は世界一おいしい」というのが
“マドンナ”ひろみさんの口癖で、私もそう思って
いましたが、それにしてもここまでしっかりうま味が
出ているスープはそうはないでしょう。

麺も、最初は箸にくっついて全部が上がって
きそうなほどの塊だったのですが、このゆで加減が
むしろ歯ごたえを残し、のどごしをしっかりとした
ものにしていました。
もしかしたら、ほかのフォーのほとんどがゆで過ぎ
なのかもしれません。少なくとも日本人にとっては。

翌朝、牛肉が乗ったフォー・ボーも試してみたの
ですが、鶏には及ばないもののなかなかの味
でしたから、ある程度は信頼できると言っていいの
かもしれません。
ただし、何人かの料理人がいるレストランですし、
労働力の流動性が高いベトナムのことですから
この味が次回も楽しめるかどうかは不安ですが。



楽園のようなゾックレットビーチ
ゾックレットビーチのフォー・ガー

翌朝食べたフォー・ボー
フォーのほかにも、ベトナムにはいろんな麺があります。

フォーの次の地位を占めるのが、ブン。
フォーよりも細く、日本の「ひやむぎ」ぐらいの太さの麺のブンは、塩が入っていないためでしょう、
ひやむぎのようなコシはなく、ブチブチと切れやすい麺です。
しかしそのぶん食べやすく、ハノイ名物の「ブン・チャー」や、フエ名物の「ブン・ボー・フエ」など
いろんなレパートリーを持って親しまれています。


その名も「ブン・ボー・フエ」


満席の店内と、お茶を持ってきてくれた女の子


これでもか、と積まれたモヤシ

その、フエ名物の麺、ブン・ボー・フエの、いちばん
おいしいと言われる専門店に行ってみました。
店の名は、「ブン・ボー・フエ」。

…そのまんまやんか。

たぶんこの店がこの料理の発祥の店だということ
でしょう。新市街の中心から歩いて10分ほどの
住宅地の真ん中にその店はありました。

店に行ったのは朝の8時前。
すでに40席ほどの店内は満席で、入れ替わり
立ちかわり客が訪れ、麺をすすっていきます。
ベトナムでは、朝食に麺を食べることが普通なの
ですが、それにしても繁盛しています。

店の名前が料理の名前なのですから、
頼むのはただひとつ。
メニューを見ることなく指を一本立て、
ブン・ボー・フエを注文しました。
ほかのベトナム人は、なにやら細かく好みを
言ったり、サイドメニューを注文しているようなの
ですが、私は初めてですし、どうせ好みなんて
言葉では伝えられないので指一本だけで
いいのです。

しかし、朝っぱらからビールを飲んでる
(しかもハイネケン)若いカップルもいたりして、
ベトナムも豊かになったものです。

3分ほどでお目当てのブン・ボー・フエが登場。
日本で言う「にゅうめん」といった感じでしょうか。
ベトナムでは(相対的に)高価なモヤシが、麺の
上だけでなく別皿にも山と積まれる気前の良さ。
さすが繁盛している店は違う、って感じです。

見た目の特徴は辣油が浮いていることです。
ベトナム人は決して辛さには強くないため、
辛さは各自、別皿に添えられた唐辛子や
テーブルの上の調味料で調整するシステムに
なっていますが、ここでは有無を言わさず辣油が
かけられています。“激辛”が売り物なのでしょう。

ただこのブン・ボー・フエ、実際に食べてみると辛さはたいしたことありません。
カレーに辛子明太子、さらにキムチにタイ料理と、日々辛いものだらけの食生活を
送っている日本人と、そんなものはほとんど存在しないベトナム人とでは、
辛さに関する感覚に大きな違いがあるのは、当たり前のことでしょう。

味のほうは、やわらかい味のスープを辣油の香りが引き立てていてなかなかおいしく、
よく煮込まれた牛肉や、つみれがいいアクセントになっていました。


サイゴンのシンカフェで食べたフォー
フォーをはじめとする、様々な米の麺。
それは、母なるメコンの恵みでもあります。

各地に根付いた、様々な特色ある麺を楽しむのも、
ベトナムの旅の楽しみといえるでしょう。






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