そしてついに
「小ジマ イサミ」さんという
名前を発見!
こっちには
「東洋紡エステル・ワイエー」。

その下には漢字らしき文字も。
 行ったのは平日の昼前だったんですが、
多くの女性たちが世間話をしながら
のんびりと品定めをする姿が見られました。

 暑い国だけあって、人気があるのは
やはり白いシャツのようです。

 しかし、売られているシャツを
よく見ていくと…。

タグには「KANKO」の文字が。

カンコーって、どっかで聞いたような…。
かつて私がちょっとだけファンだった
酒井法子がCMをやっていたような…。(^◇^;)
 そう、この通りで売られている服のほとんどはこうした古着。
ここは、サイゴン最大の古着街なのです。

 ベトナム語で古着のことを「アオシダ ao si da」といいます。
「アオ ao」は「アオザイ 」からもわかるように「服」という意味。
で、「シダ si da」はなにかと言いますと、なんと「エイズ」の意味なんです。

 つまり「エイズの服」
ちょっとまぁ、イメージの悪い言葉ですこと。(^◇^;)

 なぜこんな名前になったのでしょうか。
ここからは“サイゴンのマドンナ”ひろみさんから聞いた話ですが、
アメリカを撃退し社会主義国となり、さらに中国とも戦争をして
“世界の孤児”となってしまっていたベトナムにとって、
古着を海外から輸入しはじめたのはつい最近のことだそうです。

 それがたまたまエイズがベトナムに上陸しはじめた時期と
重なるということで名付けられたのが「エイズの服」。
エイズも古着も、海外からどっと入ってきたわけですしね。

                 ☆

 こうした古着のなかでも、人気があるのは日本からのもの。
日本製の繊維製品の品質が高いことはもちろんですが、
それ以上に日本の古着そのものの「程度」がいいことが最大の理由。

 つまり、日本人は「まだまだ着られるものを捨てる」からなのです。

                 ☆

 実は、このベトナムの古着街に行く前に、
神奈川県にある日本有数の故繊維業者(繊維回収・リサイクル業者)に
衣料品のリサイクルの現状について話を聞きに行く機会がありました。

 日本で衣料品が不要になった場合、
1)ゴミとして捨てる。
2)古紙回収業者に持って行ってもらう。
3)町内会の資源回収に出す。
といったルートがあるんですが、そのほとんどが故繊維業者に集まってくるとのこと。

 そして、集められた衣料品の用途はおおまかに3通りあります。

1)綿などは適当な大きさに裁断されて工場用ぞうきん(ウェス)となり、
 工場の機械類の油汚れなどを拭き取るために使われる。
2)毛織物などはもう一回糸に戻され(反毛・はんもう)、再び毛織物になる。
 またその他の繊維も同様にフェルトや軍手などの製品として生まれかわる。

 そして3つ目が、
東南アジアへの輸出なのです。

 かなり昔から、古着はこの3つの用途があり、
それぞれ3分の1ずつの割合を占めて推移してきたといいます。
ただ、ベトナムへの輸出は近年になって始まったとのこと。

 東南アジアへの輸出は当然、夏服のなかからまだまだ使えるものが選ばれます。
しかし、夏服ならばなんでもいい、という訳にもいきません。

 たとえば、ズボンはベトナムには輸出できない。
なぜならば、彼らのほうが脚が長いのです。(^◇^;)
ですから、ズボンを輸出する場合は在庫処分のような、まだすそ合わせしてないものを
選んで輸出するといった配慮が必要だとか。

 一方で、非常に求められているのが女性ものの下着だそうです。
ベトナムなどでは経済発展とともに女性の下着、とくにブラジャーの需要が
急増しているのですが、新品となるとまだまだ彼女たちにとっては高嶺の花。
そこで古着としての需要があるわけですが、供給そのものが非常に少ないとのこと。

 たしかに、日本の女性は、下着がリサイクルされるなんて夢にも思っていないでしょうし、
下手に捨てればその先どうなるかがが心配なのでしょう。実際、いっしょに話を
聞いていた女性も、下着を捨てるときはハサミで切り刻んで捨てると言ってました。

 古着ひとつとっても、有効なリサイクルはいろいろと難しいようです。

                  ☆

 かつて家庭たくさんの兄弟がいたころ、「おさがり」という言葉は普通でした。
お兄ちゃんが着たものを妹が着て、最後に弟が着る。そんなことは当たり前でした。
また、いとこや近所の「おさがり」もありました。


 そしていま、日本の人々が着たものをベトナムの人々が着る時代になりました。


 もちろん、リサイクルや資源の有効利用という点から評価できるのでしょうが、
ある意味でこれは国境を超えて仲良く「おさがり」をとしてると考えると
とても楽しく、前向きに考えられることかも知れませんね。



 サイゴンの中心部から北東に1kmほどいった場所、
戦争証跡博物館の近くにグェン・ディン・チュウ通り
(Nguen Dinh Chieu St.)があります。

 この通りの一帯にはびっしりと衣料品の店が。
2、30軒はあるでしょうか。それぞれの店が専門分野を
持っているらしく、白いシャツなら白いシャツ、柄物なら
柄物というふうに、ずらーっと並べられています。



グェン・ディン・チュウ通り
最近、「おさがり」という言葉を聞かなくなったと思いません?