小田原市飯泉504-2
0465-47-7780

11:30〜14:30
17:00〜18:30
月・第二火休
地図はここ

この店でいちばん驚いたのは、「にしん」でした。

蕎麦屋によくある身欠きにしんの甘露煮ではなく、
ほぼ生のニシンを煮たもの。非常に身がふっくらと
薄味に仕上げられ、上品な一品となっています。

考えてみれば身欠きにしんは保存食としての必要が
あったからあれだけカチカチに干されていたわけで、
乾燥する過程で失った水分と味を加えるために
甘露煮にしていたに過ぎません。
現在のように、にしんを新鮮なまま入手できるならば
わざわざ昔のような濃い味にする必要もないのです。

この店のにしんは、にしんの持つ本来の味を引き出し、
そのうま味を私たちに再認識させてくれました。

この店の場所は小田原。
東名厚木インターチェンジから小田原厚木道路に入り、
「小田原東」という出口を出てすぐ。
ちょっとわかりにくい路地を入った場所にあります。

天井の高い、正方形に近い部屋にテーブルが点在、
梅の花などを眺められる窓に面してカウンター席が
あったり、ちょっと変則的な配置ではありますが、変に
気取らず、ゆったりとした部屋です。

蕎麦は白く、細いもの。細いながらもしっかりとした
歯ごたえがあり、ほのかな甘さが口に広がる感じ。
少々不規則な切り方も見た目に楽しく感じられます。

つゆは鰹だけではなく、複雑な味。
醤油の強い香りのなかで、みりんとダシが一定の
主張をしているような味。純粋な関東風ではなく、
かといって関西とは全然違う力強さを持っています。
椎茸のような、昆布のような、何かぬめりのある
甘い味の素材が使われているようなのですが、
何度味わってみてもいまひとつはっきりしません。
日本酒のテイスティングの際にやる、口に少量含んで
歯の間から空気を吸って香りをみてみたのですが
よくわかりませんでした。
しかし、このつゆがおいしいことだけはたしかです。

最初に行ったときに頼んだ「掻き揚げ天そば」には、
塩が付いてきていました。塩で食べることで、海老
などの素材の持ち味を生かすことができていましたし、
油の浮いたつゆに蕎麦をつける必要がなくなります。
どちらも中途半端にならずにしっかりと味わえました。

また、二回目の「鴨南蛮」はひとつひとつの素材が
しっかりと“立って”いました。

たとえば、鴨肉は一回じっくりとローストしたもの。
通常の煮込みではうま味がある程度逃げてしまう
ものを、ローストすることでうま味を肉の中に“封入”、
ちょっとスモーキーな味わいが蕎麦つゆのなかで
存在感を主張しているのです。ネギも小さいながら
軽めに焼かれ、茄子は素揚げが施されています。

麺もまたつゆに対してかなり多めで、しっかりと
味わえますから、普通のひとならばじゅうぶんな量と
言えるでしょう。

東京から車を飛ばし、蕎麦をすすってさっと帰る。
そういう、ちょっと贅沢なドライブをする価値のある
蕎麦です。




ふっくらと上品な味のにしん


窓に面したカウンター席も


細く白い蕎麦は量もじゅうぶん


茄子も乗り彩り豊かな鴨南蛮


鴨肉はローストされたもの


なめこそば


セイロ 800円 ざる 850円 納豆/おろし/とろろ 各1,050円
鴨ざる/にしん 各1,600円 海老天/穴子天/掻き揚げ天 各2,000円
かけ 850円 なめこ/かしわ/山かけ 各1,050円 鴨南蛮/にしん 各1,600円
海老天かけ/穴子天かけ/掻き揚げ天かけ 各2,000円
揚げだし豆腐 530円 板わさ 530円 にしん750円 生ビール(大)700円 (小)400円


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http://www.totteoki.jp/shibuya/seigetsu.htm


2005・3